ピンクの落書き
優しくすんな、ボケ。
ふざけんな。
「あ、つ~ばさ~!」
遠くに見える水道で琉那が飛び跳ねながら手を振っている。
それに振り返すと、走って向かってきた。
「翼っ!手大丈夫?バスケ勝ったよ!」
目がキラキラ輝いている琉那。
「大丈夫。あ、おめでとう」
言ったあとから無愛想だったと反省した。
すぐ顔に出てしまう。
「う、うん。何かあった?」
顔を心配そうに覗いてくる琉那。
「別に。うち帰るね」
「え、なんで!?次準決勝なんだけど!」
うちの肩を掴み、揺らしてきた。
ぐあんぐあん頭が揺れる。
「ごめん。でも、やれる気しねーから。じゃな」
そう言うと揺らす手を止めてくれた。
だいぶ…気持ち悪くなったぞ…
「そっか。まぁ、翼きかないもんね~。てか、翼がいなくても勝てるっつーの!バイバイ」
笑顔で送り出してくれた。
「さんきゅ。ファイト~」
手を振りながら、うちは階段を上がり教室に向かう。
誰もいない教室。