ピンクの落書き
颯side
最近、俺の前の席はぽっかりと空いている。
前から隣の席になる音楽も俺は独りだ。
なんか…からだの真ん中がカサカサする。
こんなのは味わったことがない。
「あ、琉那!」
遅めの登校を迎えた琉那が教室に入ってきた。
一緒に話していた親友の拓海を放置し琉那に駆け寄る。
本当は、拓海の話なんか耳に入っていなかったし…
こいつの話は、どこ校の誰が可愛かったやら女の話ばっか。
そんなことより琉那!
「あら、おはよーございます」
太く真っ黒なまつげがパチクリと動いている。
風が吹きそうだ。
「はよ。あのさ、なんで翼来ねぇーの?」
「はぁ?そんなん自分で考えな!」
「なんでだよ?わかんねぇもん」
「あんたもそうなんでしょ?ふたりして鈍感?翼も翼で認めないし。あんたもあんたで…」
琉那の言っていること、全くわからねぇーんだけど!
あんたもそう?
…なにが?
「意味わからねぇ…」
「めんどくさいふたり!女慣れしてんじゃないの?そしたら、女の気持ちもわかるんじゃないの〜?」
そんなこと言われたって…
わからないものは…わからん!!
「じゃあ、俺のアド渡してくれる?」
「はいはい」