ピンクの落書き
「…翼」
なんの音も耳には入ってこない。
入るのは、颯の言葉だけ。
「………え…?」
翼…って言ったの?
でも、確かに颯の口がそう言ったよね。
「俺は…翼って書いたんだ」
ぅえ…?
うちの目は限界というほど大きく開いた。
瞬きを忘れてる。
颯の真っ黒な瞳に吸い込まれ中…
でも、窓から風がひとつ、いたずらっぽく吹き我に返る。
「ねぇ…3番て…」
3番は、占いだと“好きな人”。
「好きな人」
颯の声は、なぜか堂々としていた。
息ができない。
こんなの…期待しちゃうよ?
単純なバカな単細胞なうちは、そう思っちゃうじゃん。
「翼、この占い。ほんと当たってびっくりしたんだよな」
それって、どーいう意味??
ねぇ…!?
ガチで期待しちゃうじゃん?
さらっと言う颯。
「翼。この占い、よく当たったんだよ。意味わかるか?」