ピンクの落書き



「…翼」



なんの音も耳には入ってこない。


入るのは、颯の言葉だけ。



「………え…?」




翼…って言ったの?


でも、確かに颯の口がそう言ったよね。




「俺は…翼って書いたんだ」



ぅえ…?




うちの目は限界というほど大きく開いた。


瞬きを忘れてる。



颯の真っ黒な瞳に吸い込まれ中…




でも、窓から風がひとつ、いたずらっぽく吹き我に返る。





「ねぇ…3番て…」




3番は、占いだと“好きな人”。




「好きな人」



颯の声は、なぜか堂々としていた。


息ができない。



こんなの…期待しちゃうよ?


単純なバカな単細胞なうちは、そう思っちゃうじゃん。




「翼、この占い。ほんと当たってびっくりしたんだよな」



それって、どーいう意味??



ねぇ…!?


ガチで期待しちゃうじゃん?



さらっと言う颯。



「翼。この占い、よく当たったんだよ。意味わかるか?」




< 60 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop