ピンクの落書き



夏の暑さで火照った頬に一筋の涙が伝った。



静かに。



どうして涙が流れるの?


わけわからない。




「翼。好きだ------。」






真剣な颯の顔。



でも、ちょびっと笑顔な颯。




この音楽室にいるのは、うち颯のふたりきり。


同じ風に当たっている。



こんな近くにキミがいて…。



それだけで、宇宙までひとっ飛びするくらい嬉しいのに。




うちは、宇宙の外まで飛んで行っちゃうよ。



“好き”……?



颯が?


うちを?





「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーん!!」




うちは、急に赤ちゃんのように泣きだした。




「うあぁ!ぅわーーーん!」



涙がぼろぼろ零れる。


こんなに子供のように泣いたのは、いつ以来だろう。




「おいおい。どうしたんだよ?泣くなよ」




颯は、両手を広げわたわた慌てている。


めちゃくちゃ困っている。







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