ピンクの落書き
こんな嬉しさがこの地球にあったなんて知らなかった。
こんな人の温かさが、あったなんてわからなかった。
温かい颯の背中。
颯の腕に包まれて。
こんな嬉しさ初めて知った。
「颯…ねぇ。ひとつ聞きたいんだけど…」
うちは呟きながら体を離す。
「うちは、颯の彼女になれるの?瑞希さんはどうなったの?」
ここ、1番不安になる。
うちは…颯の“彼女”になりたいよ?
颯を独り占めしたいよ?
「瑞希とは別れた」
うちは最低な女だ。
こんなこと思っているんだから。
別れたことが嬉しい。
単純に嬉しい。
うち、最低だな。
「だから安心しろ。俺は、お前のもの」
その言葉…かっこよすぎ…!
笑みが自然とこぼれてしまう。
「颯なら、信じられる」
勝手にそう言っていた。
そして、また涙が静かに溢れ出す。