ピンクの落書き
「翼もそっちの机に、これ書いて。あっ、これとは対称に書いてね?対称ってゆーか…鏡で見たときみたいな感じ…」
颯が必死に説明し、うちはひらめいた。
颯が一生懸命何を刻もうとしていたのか…
その正体を、またガタガタになりながらも刻む。
「出来たっ…!」
上出来上出来。
颯を見ると、満足そうだ。
笑って机を見つめている。
うちと颯の机の下。
刻まれたもの…。
颯が慎重に刻んだハートの半分。
それを対称に刻んだうちのハートの半分。
ハートの半分の下には、それぞれの名前。
机をくっつけると、相合い傘ができる。
「なんか…颯。やることがかわいいじゃん?」
「だろ~!」
この刻まれた落書きを、この机に座る人が見て笑っちゃうだろうね。
でも自慢してやるんだから。