ピンクの落書き




「翼もそっちの机に、これ書いて。あっ、これとは対称に書いてね?対称ってゆーか…鏡で見たときみたいな感じ…」



颯が必死に説明し、うちはひらめいた。



颯が一生懸命何を刻もうとしていたのか…



その正体を、またガタガタになりながらも刻む。




「出来たっ…!」




上出来上出来。



颯を見ると、満足そうだ。


笑って机を見つめている。




うちと颯の机の下。


刻まれたもの…。




颯が慎重に刻んだハートの半分。


それを対称に刻んだうちのハートの半分。



ハートの半分の下には、それぞれの名前。



机をくっつけると、相合い傘ができる。





「なんか…颯。やることがかわいいじゃん?」



「だろ~!」



この刻まれた落書きを、この机に座る人が見て笑っちゃうだろうね。


でも自慢してやるんだから。





< 71 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop