ピンクの落書き



「やーーーーっ!!」




はっ!!?


俺が開けようとドアに手を掛けた瞬間、大声が聞こえた。



ど、どうしたんだ!?



ガラガラガラっ---


扉を開けた。



口に手を当てているよ。

目が捕らえられているよ、あいつ。



「うるせぇ」



それだけを言った。


相当驚いている翼。



俺が見たかった顔。


聞きたかった声。




あのいつもの席に、翼は座っていた。




「なんで…なんで来たんだよ!?」



声を荒げている。


こ、こんなに驚かれるなんて…




「いや…」


頭をかきながら、俺は近寄って自分の机に横に立った。


あれ。


なんか、翼の机に何か書いてある?


なんて書いてあるんだ?



翼は俺が見ているのに気付いたらしく、指でこすって消された。





「…翼…………」


そんな恐る恐る俺の顔を見るなよ。




「なぁ、ここに入ってた本知らない?」



そう言いながら、うちの隣の机を指差した。




「へ?……あ、知ってるよ。さっき、持ち主が取りに来て持っていったけど」



やっぱりさっきの女の子が持って行ったんだ。




< 75 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop