ピンクの落書き
「やーーーーっ!!」
はっ!!?
俺が開けようとドアに手を掛けた瞬間、大声が聞こえた。
ど、どうしたんだ!?
ガラガラガラっ---
扉を開けた。
口に手を当てているよ。
目が捕らえられているよ、あいつ。
「うるせぇ」
それだけを言った。
相当驚いている翼。
俺が見たかった顔。
聞きたかった声。
あのいつもの席に、翼は座っていた。
「なんで…なんで来たんだよ!?」
声を荒げている。
こ、こんなに驚かれるなんて…
「いや…」
頭をかきながら、俺は近寄って自分の机に横に立った。
あれ。
なんか、翼の机に何か書いてある?
なんて書いてあるんだ?
翼は俺が見ているのに気付いたらしく、指でこすって消された。
「…翼…………」
そんな恐る恐る俺の顔を見るなよ。
「なぁ、ここに入ってた本知らない?」
そう言いながら、うちの隣の机を指差した。
「へ?……あ、知ってるよ。さっき、持ち主が取りに来て持っていったけど」
やっぱりさっきの女の子が持って行ったんだ。