ピンクの落書き



「…翼」


「………え…?」



「俺は…翼って書いたんだ」



こんなくどい言い方は、恰好悪いな。



翼の目は限界というほど大きく開いて、俺を見つめてくる。




でも、窓から風がひとつ、いたずらっぽく吹き我に返る。





「ねぇ…3番て…」




3番は、占いだと“好きな人”。




「好きな人」



こんな告白、めんどくさいだろ?


でも。


おもしろくなってきたんだ。


翼の様子を見ているのが。



「翼、この占い。ほんと当たってびっくりしたんだよな」



俺が言う言葉ひとつひとつに表情を変える翼。


恥ずかしくなったり…


照れたり…


喜んだり…




「翼。この占い、よく当たったんだよ。意味わかるか?」





< 77 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop