ピンクの落書き
「…翼」
「………え…?」
「俺は…翼って書いたんだ」
こんなくどい言い方は、恰好悪いな。
翼の目は限界というほど大きく開いて、俺を見つめてくる。
でも、窓から風がひとつ、いたずらっぽく吹き我に返る。
「ねぇ…3番て…」
3番は、占いだと“好きな人”。
「好きな人」
こんな告白、めんどくさいだろ?
でも。
おもしろくなってきたんだ。
翼の様子を見ているのが。
「翼、この占い。ほんと当たってびっくりしたんだよな」
俺が言う言葉ひとつひとつに表情を変える翼。
恥ずかしくなったり…
照れたり…
喜んだり…
「翼。この占い、よく当たったんだよ。意味わかるか?」