ピンクの落書き
翼の頬に一筋の涙が伝った。
静かに。
俺は…伝えるよ?
「翼。好きだ------。」
この音楽室にいるのは、俺と翼のふたりきり。
同じ風に当たっている。
こんな近くにお前がいて…。
俺はどれほどお前に会いたいかわかってんのかぁ?
会いたくて会いたくて…
ずっとずっとずっとお前を待っていたんだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーん!!」
翼は、急に赤ちゃんのように泣きだした。
え?え!?
どうしたんだ!?
「うあぁ!ぅわーーーん!」
涙がぼろぼろ零れる。
「おいおい。どうしたんだよ?泣くなよ」
俺は、両手を広げわたわた慌てている。
めちゃくちゃ困った。
「だって。だってだって、ひっ。ひっ…も〜ひっく」
嗚咽が止まらなくて、言葉になってない。
「だって、片想い頑張るって決めたばっかなのに。だって、颯には瑞希さんがいるのに。だって、初恋なのに。だって、まだ全然片想い頑張ってないのに」
ちゃんときいてるから。
大丈夫なのに。
「颯なんて、瑞希さんいるのに優しくしてわけわかんない。バスケうまいとかウザい。うちをめっちゃ苦しめて、まじ嫌い」
なんでこんなに責められているんだ?
「俺のこと…嫌い?」
「そんなの全部嘘だよ!うあぁーーーん!」
泣きながら翼は抱きついてきた。
「ずっと…ずっとずうっと颯が…ひっく。…好きだったぁ」
俺は翼のさらさらの髪を思わず撫でた。
あぁ、俺も好きだなぁ…
「好き好き好き…ばかぁ!」
好き好き好き…
「本当に…うちのこと好き?」
「好きだよ」
「うあぁあああーん!!うちも大好きなんだからぁ…!」