ピンクの落書き
「だから、泣くな?」
笑顔で頷いてくれた翼。
「生きててよかったぁ…」
また、抱きついてきた。
「何言ってるんだよ。アホか」
「どーせアホですよ」
素直じゃない翼がかわいくて好きだ。
「ねぇ、ハズいこと言っても笑わない?」
「おう」
「颯に出会えて、よかったぁ…」
予想外の言葉。
まさか、この翼の口からそんなくすぐったい言葉が出るなんてな。
嬉しかった。
「翼。本当に、ハズいこと言ったな…」
口に手を当て、笑うのをこらえた。
照れ隠しだって気付いてないだろ?
「ちょっとー!笑わないって言ったじゃん」
翼は、俺の肩をバシバシと叩いた。
「笑ってないって」
「この嘘つき」
「ごめんてば!」
「今の言葉、ハズいから取り消し」
「取り消し無し!」
「うちに権限があるんですー」
「今の言葉、嬉しかったから取り消し無し!」
「あはっ」
翼は急に吹き出して笑った。