ピンクの落書き
おかしいヤツだ。
急に大泣きしたり、吹き出したり。
忙しいヤツだな。
好きとか、真顔で叫ぶし。
そんな翼の笑顔は、俺にとって眩しすぎるんだ。
「おふたりさーん!邪魔して悪いね!」
びっくして声のするほうを見ると、琉那が音楽室に入ってきたところだった。
「びっくりしたぁ…」
翼も琉那を見ながら呟いた。
「いやー、このままにしておきたいところなんだけど。次は音楽なんだよね」
言いながら琉那はニヤニヤして近づいてくる。
「どう?琉那ちゃんの作戦!ラブずっきゅんした?」
両手でハートを作りながら言った。
「琉那ちゃんの作戦…?」
「うん。翼ちゃん、忘れ物は見つかったかな?」
ますますニヤついている琉那…
「忘れ物なんて見つからないんだけど。…もしかして嘘っ!?」
「えへへ〜。でも、颯と会えたじゃ〜ん!」
翼は、琉那に騙されてよかったってことか。
それで音楽室へ来て、俺と出会わせた。
それが『琉那ちゃんの作戦』…。