ピンクの落書き
「泣かないでよー。よしよし」
お母さんのように頭を撫でる琉那。
周りには、クラスのやつらが入ってくるのにお構いなしだな。
そんな中、チャイムが鳴った。
琉那は翔太の隣のお決まりの席へと座りに行く。
「授業を始めるよ〜」
先生が入ってくる。
隣の翼をふと見ると、先生と微笑んでいる。
好きだもんな。
まきちゃんのこと。
「翼って思ったより泣き虫なんだな」
さっきあんなに泣いたくせに、微笑みながら目がうるうるしているんだから。
「うるさい」
口を尖らせて答えた翼。
ほら、素直じゃねーなぁ。
「これ。翼だろ?書いたの」
呟きながら、指を指し示したとこには、刻まれたあの文字。
“14才おめでとう”
「……うん」
「翼がいなかったときに気付いて。誕生日の日いればよかったなぁ〜、ってすげぇ後悔したし」
刻まれた文字を指でなぞりながら颯は言った。
「バカ!いろっつーの!」
あぁー、言うと思った。
笑えるな。
てか、どんだけ俺がこれを見て嬉しかったか知らねぇくせにバカ言うなよ。
バカ翼が。
「バカ言うな」
でも、ごめんな。
俺この時いなくて…
誕生日だったから瑞希と過ごしていたんだ。
学校なんて休んで遊園地へ行った。
俺のがバカな。
「……なぁ。また彫らね?」
俺は、イイコトをひらめいたんだから。
「何を?」
わからないと思うけど、とっておきモノなんだから!
笑って笑ってふたりで話したな。
ガタガタになっちゃったけどさ、俺達の証だよな?
机をくっつけると、相合い傘の彫り。