ピンクの落書き
えぇっ!?
なんで女なんかが颯の家にいるんだよ!?
誰なのか気になって歩く速度が上がる。
長身。
スラっと長くて細い脚。
金髪の腰まである長い髪。
ヒョウ柄の目立つTシャツ。
夕陽の道路にくっきりと浮かび上がっているその横姿。
なんで颯の家の前になんかいんの!?
何してんの!?
ズカズカと近づいていくと、あっちがうちの存在に気付いて振り向いた。
あ。
この女…
瑞希さんだ。
うちの1番嫌いな先輩で、颯の…元カノ。
なんでなんでなんでいんの!?
「どうも」
それだけを棒読みに言うと、瑞希さんはうちを睨んできた。
瑞希さんも嫌いだもんな。
うちのこと。
「あ、翼。ごめん!まじ遅れてて…」
瑞希さんの前には颯がいた。