ピンクの落書き




「なんで翼がいんの?」


瑞希さんが腕を組みながら話し掛けてきた。



「颯を迎えに来たんです」



「は?なんで?」



眉間にシワを寄せた瑞希さん。



「颯の、彼女!ですから」


わざと“彼女”の部分を大きく言ってやったし。



てか、なんで“元カノ”の分際の瑞希さんが颯の家に来ているの!?


ムカツク。





「颯っ!なんで!?私のこと好きじゃないの!?」



え?


何言ってんの?



「ねぇ颯!好きだよね?あたしのこと」



瑞希さんは、玄関に立っている颯にすがり訳のわからない質問をぶつける。


…触らないで。



「うちの颯に触らないで!」



瑞希さんに近づき、颯に触れている手を引っ張った。


嫌だ。



「離せよ!何言ってんだよ?颯はあたしのなの」


思いっきり手を振り払われた。




「颯はうちと付き合ってるんだよ!!」



先輩だけど、敬語なんて関係なし。





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