ピンクの落書き





今日も、遅れて登校。



今日はひとりで。

琉那は、多分先に学校に来ていると思う。




メール届いていなかったから。




教室に入ると、休み時間だった。


みんなぎゃーぎゃー騒いでいる。




うちは何も言わず、自分の椅子に腰をおろした。



「翼」



あんまり聞き覚えのない声が名前を呼んだ。



びっくりして、呼ばれた方に振り向いた。




「はよぉ!」




そこには、満面の笑みであいさつを言ったあの人。


颯だ。





「お、おはよー…」



ぎこちないうちのあいさつ。


そのまま目も合わさずに、前に向き直った。





……なんなん…だ?


この人は。





不良のくせに、子供みたいな笑顔であいさつ。


しかも…!



いきなり、呼び捨てだし…。




琉那くらいとしか喋らないうち。


琉那はこの場にいなかった。




だから…照れくさいけど…。



正直……。




『翼。はよぉ!』





嬉しかった。


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