ピンクの落書き
「瑞希。俺は、瑞希と別れたんだよ?」
颯は瑞希さんに言った。
「言ってないよ!なのに、いきなり電話もメールも出来なくなるし。アド変わってるし」
意味がわからない。
颯は別れたってちゃんと言ったよね?
颯…不安になるよ。
颯を見ると、瑞希さんを見つめていた。
なぜか悲しくて胸が締め付けられる。
「颯はあたしの。勝手に彼女面すんじゃねーよ、翼」
下を向きながら呟いた瑞希さんの言葉がわずかに聞こえた。
颯には聞こえてない。
マジで頭来た。
「バカじゃねーの?颯はうちと付き合ってんだよっ!!」
夕日の空に響いた怒声。
パシンッ…!
響いたのは、瑞希さんに喰らった平手打ちの音。
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ!あたしのがお前の何倍も颯のこと好きなんだよ!颯のこと分かってるんだよ!」
そのまま浴衣の胸倉を掴んできた。
せっかくの浴衣が台無し。
でも、もう切れたら戻れない、関係ない。
「瑞希!やめろ」
止めにかかった颯。
颯の言ったことには従い、手を離した瑞希さん。