ピンクの落書き




「なんで?颯。別れてないよね?」



急に猫なで声になって見つめる瑞希さん。


颯の瞳に瑞希さんを映させたくないのに…




「好きな奴ができたから、別れようって言ったよ」



「言ったじゃん。別れたらあたし‘死ぬよ’って」





…空気が凍りついたのがはっきりと分かった。



瑞希さん、颯こんなこと言ったの?



「颯のお母さんと同じことになるよ?それでも、別れようって言うの?」



お母さん…?


颯のお母さんがどうしたんだ?



颯の顔色が変わったのがわかった。




「…颯のお母さん。どうしたの?」



「死んじゃったんだよ。颯を守ってね」




颯に聞いたのに瑞希さんが答えた。


…死んじゃった?


颯を守って?



全然知らないよ。


うちが知らないことを瑞希さんが知っているっていうことにムカツク。


颯のことを瑞希さんに教えてもらっているっていうのが嫌。






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