ピンクの落書き
「ねぇ、颯。翼をどうにかしてよ!」
うちの浴衣を掴んでいた手を勢いよく振り払った瑞希さん。
瑞希さんは、うちと颯が付き合っていることを信じてくれていない。
「瑞希…帰ってくれ」
と、颯は小さくつぶやいた。
「…え?何言ってんの?なんであたしを?」
「俺は翼が好きだ。お前とは、別れようってちゃんと言った」
と堂々と言った後に、そっとほっぺにキスをしてきた。
……びっくりして…照れるだろーが!
硬直した自分。
「なんで…?なんでなんで!?こんなに好きなのに…!!」
目には涙を溜めて、訴えている。
「ちょっと家入ろ?」
颯が耳元で言った。
え?
え…???
家って颯の家だよね…?
まだ、一度も入ったこともないのに!?
「じゃあな。ちゃんと帰れよ。もう、会いに来たりすんなよ」
泣いている瑞希さんに冷たく伝えると、うちの腕を引っ張って颯の家の玄関へ連れて行かれた。
初めての颯の家!
緊張しちゃうよ!