ピンクの落書き
颯が玄関を開き、中へ入れられた。
ここが…颯のお家!
中は真っ暗で静かだった。
「ごめんな。いきなり、瑞希が家に押しかけてきて…行けなくて」
「大丈夫。でも…ねぇ…。ちゃんと別れてたんだよね?瑞希さんと」
不安だよ。
怖い何かが襲ってくるよ。
颯を奪って行っちゃうんじゃないかって…すごく怖いよ。
「俺はお前だけだから。安心して」
すごいよね。
さっきまであんなに不安だったのに。
颯の言葉だったら、ひとつでも安心できちゃうんだから。
うちと颯なら大丈夫だって。
そう本気で思えるよ。
「悪いけど…今日はこのまま家にいねぇ?」
その提案、ちょっとショック…。
でも、颯がそんな顔をしたままじゃ行けないよね。
「翼。浴衣ボロボロだし…顔手の跡ついちゃってるし…」
せっかく浴衣着たのに、瑞希さんと取っ組み合いになったからシワくちゃ。
せっかく化粧をしたのに、手の跡がついちゃってるなんて…
せっかくの花火なのに…良いことないな…。
「うん…。家にいよっか」
せめて颯の前では笑顔でいよう。
「じゃ、上がって上がって」
下駄を脱ぎ、颯のお家初お邪魔します!