ピンクの落書き



「もう話さなくていい。今度は、うちが支える。ずっと支えるから」



いつも笑って、うちを笑わせてくれる颯の裏にはこんな過去があったなんて想像できなかった。


泣いた顔…初めて見た。







「……ぅ…ん」



泣いている声で抱きしめ返してくれた颯。



自分が最低だって思った。



死を簡単に考えていたから。


死のうなんて、ごく普通に思ってしまっていたから。



死でこんな苦しんでいる颯がいるっていうのに…


死で自分をずっとずっと責めてきた颯がいるのに…。






自分は最低だ。




生まれて初めて死を考えたら…なぜか涙が出た。



「最低だ…うち。支えるなんて言える資格ないのに…」



抱きしめながら颯の耳元でささやいてしまった。




「翼がとなりにいてくれるだけでいい」




もう、死のうなんて考えない。


颯のために生きる。



颯のとなりにいるために生きる。




顔を離したら一瞬だけ目が合い、無言でキスを交わす。





その瞬間…外で音が響いた。






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