晴れ時々@先生の妹【第1巻】
小森のおばちゃんの突き刺さるような視線。
――とっさについた、中村先生の嘘。
「俺の妹ですが、何か!」
中村先生が床に倒れている二戸 梨杏を抱き抱えて立ち上がる。
意識を失ったままの二戸 梨杏、まさか今中村先生にお姫様抱っこをされているなんて思ってもいないだろう。
まだ、怪しい目付きで見ている管理人のおばちゃん。
「今、妹は熱が出ていてとても具合が悪く、リビングに運ぶところなんです!」
「あらそう、妹さんなの!妹さんなら…、問題がないわね。それなら良かったわ。静かにしてちょうだいね。お大事に!」
玄関の扉が静かにしまる。
中村先生の腕の中で抱きかかえられている二戸 梨杏。
――たまに、寝言みたいなうわ言を言っているようだが…、何を言っているのか俺には少し分からない。