晴れ時々@先生の妹【第1巻】
「わっ、わかった、……俺がベランダに出してくるよ!」
二戸 梨杏の顔色が一瞬にして晴れる。
――負けた、俺の負けだ。
二戸の“イヤだもん!”に完敗をした。
俺も嫌な事があったら“イヤだもん!”を使ってみようかな?
きっと、俺が使ったら、絶対に皆完全に引くだろうな――。
――イヤだもん!
良い言葉だな。
ベランダの大きなガラス窓をガラガラと開けて、ジョウログモの止まっている木の枝をそっと下へ置く。
ジョウログモが木の枝から離れる。
「好きな所へ、行けよ――!」
中村先生は一言いった後、ベランダのガラス窓を静かに閉めた。