きっとさ、運命なんだよ。
おばあちゃんのお葬式も
終わりに近づいてきた
おばあちゃんは
この辺りでは有名な
駄菓子屋の店長だった
皆が泣いていたのは
そのためだった
おばあちゃんは優しくて
でも時々怒る
そんなおばあちゃんを慕っていた人は
とても多いのだった
ふと辺りを見回すと
おばあちゃんと同じくらいの歳の男性が
部屋の片隅に立っていた
顔には表情はなく
涙も流していなかった
わたしはなぜか
そのおじいさんの事が
気になってしょうがなくなり
お母さんに思い切って聞いてみた
「……あぁ
あの人はおばあちゃんの
恋人だった人よ
確か高校生ぐらいの時の」
そのおじいさんは
片倉 喜成
私のおばあちゃんと同じ83歳
お互いが高一の時に知り合って
校内でも有名な
アツアツカップルになったそうだ
―だが
お互いが高校を卒業した夏に
戦争が始まったのだ
(↑は実在するものではありません)
日本は相手国に圧倒され
勝てる見込みはなかった
それでも日本は戦い続けた
そんなある日
喜成さんのもとに『赤紙』が届いたのだ