１６の夏～ボールを追いかけて

序章 ～巡り合い～

４月８日。五分咲きの桜で迎えた入学式。

１年２組の教室には廊下側の最前列に一人の少女がいた。

秋山渚。小麦色の肌が初々しい１６歳の少女。

若干緊迫感のある教室だったが、皆少しずつ打ち解けていき、

和やかな雰囲気が生まれ始めた二日目。この日は部活動紹介が催された。

真面目に紹介する部活から、笑いをとり注目を浴びたラグビー部など

様々な部活が紹介されていった。

しかしクラスメイトのほとんどの女子は帰宅部志望である。

そんな中彼女の選んだ部活はサッカー部のマネージャーだった。



渚の高校のサッカー部は決して強いとは言えない。

むしろ県予選敗退の常連校である。そんな部活動のマネージャーを志望した渚。

その理由は合格発表の日にさかのぼる。

「サッカー部で～す！よろしくおねがいしま～す！」

「サッカー部でーす！マネージャーも募集してまーす！」

合格者が通る道で待ち構えたサッカー部がビラを配り勧誘をしていた。

そこにいたのが２年生のマネージャー、雪。

渚はそんな雪の姿に大いに憧れをもった。

「かわいぃ！あんな先輩になりたい！」

そう心に決めてサッカー部のマネージャーになることを決心した。



入部してから１週間。体験入部期間も終わり部活は本格的に始動し、

４月から行われる春の県予選が始まった。１年生は制服のまま外から応援している中で

渚は一人の部員の存在に目が止まった。

「あの人、隣のクラスにいた気が...。」

１年３組の高木俊平。彼は１年生でありながらも実力を買われ、

４月の大会に既にレギュラーとして活躍していた。

「えっ！？すごくない！？あの人うまいんだ。」

マネージャー同士では彼の話をしていた。

気になった理由はそれだけではない。

「かっこいい！てかカワイィ～♪」

渚は一目で恋に落ちた。

俊平はジャニーズ系の可愛いタイプだった。




渚は恋に落ちた。