pazuru☆pi-su
「あ、あの。三時限目、体育でしょう?い、いっしょにしませんか?」
舌を噛みつつ猿鳶先生は、言い切った。
私は、そんな猿鳶先生の必死な所に一瞬で胸をうたれ、考える暇もなく、
「はい!喜んで!」
・・・と返事をしていた。
パァ!と目を見開きこちらを見つめた先生は、
「あ、ハイ!で、ではまた後で!」
と、軽々と体を浮かせ、スキップをしているような足音とともに去っていった。
その足音が聞こえなくなり、一息ついて、生徒の元へ、目を向けた。
みんな、口元がゆがんでいる。
眼鏡でよく表情をうかがえないのだが、確かに分かるのは、
みんな、今にも笑い出しそうな顔をしているという事。
もしかしてみんな、私の幸せを喜んでくれているの?
もう一度、私は泣きそうになった。
うん。今年は、いい年になりそうだわ。
そう思って、気持ちを私は引き締めて、先生らしく、
コホン。とセキをついた。
「話がそれちゃったわね。さっきの問題の話に戻りましょうか。」
『そらしたのは誰だよ・・・。』
奥の席から聞こえた・・・。
気にしない。というか気にならない。
猿鳶先生と共同授業・・・
でへ、でへ、でへでへでへでへ・・・。
「せ、先生!」
と生徒が小声で注意する前に私は現実に引き戻された。
その理由はただ一つ。
小泉咲希が机にうつ伏せになっていること。
あの状態は・・・
100%寝ているということ!
――こんのヤロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
私は次こそ心の中で叫んだ。
少し恥をかかせてやろう・・・。
もう一度、コホンとセキをつき、私は言い放った。
「この問題、分かる人!!」
7,8人の手がきれいに上の天井むけてあがった。
いつ見ても気持ちいい。
そう思いながら、私は続けた。
「小泉さん。この問題といてみて?」
と、窓の外から遠く離れて回っている風車を見ながら私は言った。