恋がはじまるよ
「早く、入れよ」

 洸貴は、グレーのスエットのパーカーに、デニムのパンツという格好だった。

 そんなラフな格好をしていても、やっぱり、見惚れてしまうぐらいカッコいい。

 ただ、なぜか洸貴は機嫌の悪そうな顔をしていて、結衣を見ても、全く笑おうとしなかった。

 それを不思議に思いながらも、結衣は洸貴の後に従った。

 きちんと片付けられた静かな広いリビングは、ふんわりと花のようないい匂いがした。

 趣味のいい絵画や、陶器の置物、食器などが飾られていた。

 どれも、きっと高いものに違いない。
< 26 / 58 >

この作品をシェア

pagetop