恋がはじまるよ
 始業式の翌日だというのに、もう通常通りに授業が進んでいく。

 午前中は、本当にあっという間に、過ぎた気がする。


「ねえ、お弁当持ってる?」

 昼休みになった途端。

 隣の席の、北原(きたはら)ちひろに声をかけられた。

「ううん。持ってきてない」

 結衣が首を横に振ると。

「じゃあ、お昼ゴハン、一緒に食べようよ」

 ちひろは、机の横にかけてあった大きなブルーの袋を手にとった。

「ちょっと遠いけど、付き合ってね」

 そう言うと、結衣の返事も聞かないまま、すたすたと教室を出ていってしまう。
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