恋がはじまるよ
 何を言われているのか解らなくて、助けを求めるように、ちひろを見ると。

「ほら、修、から揚げ、おいしそうでしょう?」

「うん、めっちゃ、うまそー! 早く食べたい!」

 ちひろは、相変わらずにこにこしながら、修と一緒にテーブルの上に弁当箱を並べているところだった。

 それは、まるで、花見や運動会などで見る、四段重ねの白木の重箱に入った、立派な『お弁当』で。

「ちょっと待って、ちひろちゃん。これ、何なの?」

 状況が把握できなくて、一人で慌てる結衣に、ちひろは、にっこり笑うと、割り箸と取り皿を差し出した。

「何、って……料理研究会の部活だよ」




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