恋がはじまるよ
「『研究会』だと、部費が貰えないから、困るねん。この部室も、追い出されてしまうかもしれへんし」

「なんとか、『部』に戻りたいんだけど、その為には、新入部員があと二人必要なんだよ」

「もし、結衣が入ってくれたら、あと一人だもん。中等部の一年生が入ってくれるかもしれないし。少しは希望もてるよね」

 ちひろは、にこにこ笑いながら、今度は結衣の皿にハンバーグをのせてくれる。

「結衣、お料理、得意?」

「ううん、全然できない」

「じゃあ、将来、絶対に役立つよ。料理は実際にやって覚えるものだから」

 それはそうだと思うけれど、ここで簡単に「入部する」と即決するには決め手に欠ける。

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