初恋
「なんつーか…ハナは……彼女よりも大事。
…………俺、親友と彼女だったら親友とるタイプでさ。
……え?意外?……うん、
だからなんか親友ってゆうよりはなはもう家族みたいなもんだろ?
だから、大切!
ハナのことで彼女にとやかく言われる筋合いもないしさ。」
あたしの相槌にも優しい反応をしてくれる航ちゃん、
家族、かぁ。
あたしはね航ちゃん。
親友よりも大事に思われなくても…、
あなたの彼女になりたかった。
「彼女さん、綺麗な人だね」
そしてあたしは、聞きたくもない会話を無意識の発言で始めようとしていた。
…響きが嫌みっぽかった気がする、
ほんとにあたしって嫌な奴だ。
「なんかさ、笑っちゃうよな。
まさかはなと彼氏彼女の話しすると思わなかった。」
「…ね、あたしたちももう大学生だもんね。」
「はなの制服姿見たかったなー」
意地悪そうに笑う航ちゃん。
その仕草のひとつひとつがあたしを苦しめる。
暖かい感情の上に鋭く冷たい刃物が突き刺さる。
気持ち悪い心地。
きっとこれを…嫉妬というんだ。
あの彼女さんが航ちゃんの彼女さんが…
うらやましくて仕方ない。
「あ…」
「ん、どした??」
「ううん何でもない」
時間を見ようと携帯をかばんから出したら「着信7件」の文字。
……ごめんね、高木。