初恋
明らかにいつもの高木と別人のようで
寂しい気分になってくる。
「明日は…!!……一緒にたべない?」
−…もう、いいってば。……………約束、破ったくせに…。ハナちゃんは馬鹿だよ。じゃ、
プープー
と機械音が耳に残る。
一方的に電話を切られたのなんかはじめてで。
怒っている高木もはじめてで。
突き放されたのもはじめてで。
なんで…?
さっきと似た、胸の痛み…
そんなはず、ない。
午後の授業にも高木はいなかった。
それから2、3日。
高木と同じ授業ばかりなのに一度も顔を見かけなかった。
…なにへこんでんだろう私。
久々に一人で過ごす…高木の有り難さに気づいてしまう。
いつも暖かく見守ってくれてたのは高木で。
怒っても泣いても“今”のあたしを
優しく包んでくれていたのは高木で。
…でも、それでも好きなのは航ちゃん。
高木の優しさに甘えてたのに
どうしようもなく…馬鹿の一つ覚えのように
航ちゃんを好きな気持ちはあたしの中で膨らみ続ける。