初恋
◎
「…航平??」
「…唯、」
……嘘、でしょ。
事態に気付いたあたしはその場から動けなかった。
航ちゃんからは離れ…
でも、唯さんと顔を合わせる勇気はなかった。
「……幼なじみ、だっけ、」
「ああ。」
「…うん、まあ、いいや。あたし今日これから勤務だから、。そこ、どいて」
「……」
航ちゃんは静かに動いた。
その横を通り過ぎ、
従業員入口の扉をガチャンッッと勢いよく閉めた唯さん。
あたしは…何してるんだろう
「……ごめん、なさい」
また涙が溢れて…でも航ちゃんの顔は見れなくてその場に背を向け駅まで走った。
唯さんを傷付けたのに、あたしの心の半分は幸せで…
でももう……航ちゃんとは顔を合わせられない。