初恋





そして程なくしてあたしの家族はあたしたちの生まれ育ったマンションから一戸建てへ引っ越すことが決まった。









「ハナー、お前まだ意地張ってんの?航にあってこいって。」





4つ年上の爽兄が朝からそれしか言わない。




「だって航ちゃんはあたしのこと嫌いなの!!!会ったって迷惑なだけ!!いいのっ」




「このまま一生会えないかも知れないのに?」






ただ隣の市へ引っ越すだけなのに爽兄はやたらと大袈裟にあたしをからかうみたいに言う。




「あーあー、小さいころは航ちゃんのお嫁さんになるーってそれしか言わなかったのになぁ。
このまま会えなくていーのかー、



…………って、あぁ泣くなよ馬鹿。俺が悪かった。ごめんごめん、ほら、もー…」





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