初恋
「ほら、泣く。
好きな証拠でしょ?
諦められない証拠でしょ?」
「…うん」
「付き合ってたっていってもデートさえまともにしてないんだけどね。
だから結局、友達に戻ってからのほうが、仲良くなった。」
真美奈にはじめて
航ちゃんの話しをしたときの
青ざめたような表情は
このせいだったんだね……。
あたしはいっつも自分に精一杯で
友達のこと、何も気付いてあげれない…
「まだ………好き……?」
「まさか。」
あっけらかんとした、いつもの真美奈の声だった。
考えてみれば真美奈には今、他校の彼氏がいるし馬鹿な質問だった。
でも、真美奈の歪んだ表情が
忘れられない……、
「航平君にはね、忘れられない大事な人がいたんだって。
だからその人のこと踏ん切り付けられるまでは、誰ともちゃんと付き合えないやってその時、言ってた。」