初恋
それから一ヶ月が経ち、
雪斗と香椎はなは付き合った。
「隣の席だからよく話したし、彼女作るのって意外に簡単だな!」
なんて報告してくる雪を
殴りたかった。
そして、気付いた。
ほんとうに
香椎はなのことを
あの一瞬で“好き”になってしまったことに。
悔しい。
香椎はなが雪の彼女…
それから自然と
雪のクラスに行くことはなくなった。
話してる二人を見たくない
笑ってる二人を見たくない、
雪がうらやましい、と素直に思った。
クラスで友達ができれば
当たり前のように俺に告白してくれる子もでてきた。
雪への腹いせのため、
香椎はなへの気持ちを忘れるために告白されれば、それなりに付き合ってみた。
香椎はなとは直接関わることもなかったし、
付き合ったら付き合ったで楽しい子もいたから
だんだんと香椎はなの存在が俺の中からいなくなった。
それと同時に雪とも疎遠になっていった。
だから香椎はなと雪がどのくらい付き合ったかは知らない。
でもやっぱり、別れたということを噂に聞いたとき
心の中でガッツポーズをしてしまったんだ。
…なにもできやしないのに。