初恋
なんか泣きそうで。
姉ちゃん4人に囲まれて育った俺は
元から女っぽいところもあったけど、
ここまで自分が情けなくなったのが初めてだった。
一目惚れでもなんでも、
ちゃんと気持ちを伝えてれば良かった。
あの子の淋しげな笑顔がすぐ頭に浮かんできて
静かに遠くへ去っていく。
そんな映像が頭の中で繰り返されたけど、
俺にはどうすることもできないまま、3年になった。
「…!!」
配られたクラス分けの紙を見て、
息が止まった。
香椎 はな
……一緒。
新しいクラスに移動する。
久しぶりに見た、淋しげな君の横顔。
やっぱり可愛くて
守りたい、と思った。
その日の夜、
近所の美容院(従兄弟が働いてる)に行って、髪を染めた。
おばさん怒るなー、絶対
と従兄弟にも脅されたけど
案の定、家に帰ったら
激怒。
高校2年間、
ド真面目でやってきたわけでもないし
いまさらどうでもいいじゃん
と親を説得し(呆れられただけ。)
たまにしかしない
コンタクトを付けて、
翌日、学校に行く。
教室に入った瞬間、
ザワついてたクラスが
静かになった。
その後、延々と質問責め。
でも、香椎はなは
窓辺で友達としゃべってて
俺なんかに
全然興味なさそう。
…いつ話し掛けようかな、