AKANE
「クロウ陛下! 起きてらっしゃったんですね!」
ひどくほっとした顔で、ルイが朱音の元へと駆け寄ってきた。昨晩、大広間から突然抜け出して消えてしまった朱音を必死で追いかけ探したにも関わらず、結局ルイは見つけ出すことができなかった。
その上、アザエルによって部屋へと運ばれてきた朱音の首には、明らかに何者かによって締め付けられたような痣がくっきりと残っていたのだ。
「わたしは何があってもこの方から目を離すなと言っておいた筈だが」
冷ややかな氷のような目がルイを見据え、ルイは霞んだ灰の瞳を見開いた。
そのときに自らが仕える主に何が起こったのかを、そして自分が犯した失態を瞬時に悟ったのだ。
そんなことがあった為、ルイはひどく心配性になっていて、ほんの少しの朱音の言動にも敏感だった。
「ルイ・・・。心配かけてごめんね。わたしが昨日勝手に飛び出してったせいで、きっとあいつに怒られたんでしょ?」
ルイは目を見張って扉を後ろ手に閉めた。
「いえ、違うんです・・・。全てはクロウ陛下から離れた僕の責任なんです」
すっかり意気消沈してしまっているルイに朱音は同情した。
見た目はクロウだか魔王の息子だか、何だか知らないが、中身は平凡な中学生“朱音”だというのに、そんな自分の為に尽くそうとするルイに申し訳ない思いを抱かずにはいられない。
「えっと、そんなことより、大変なんです! 元老院が、アザエル閣下の地位を剥奪し、サンタシにその身柄を引き渡すことを今朝決めたそうです!」
ルイはひどく興奮して、朱音に縋るような目を向けてきた。
「ふうん・・・、あいつ、何したの?」
朱音はさして興味も無さそうに、クイックルにクッキーをやる手を止めないまま言った。
ひどくほっとした顔で、ルイが朱音の元へと駆け寄ってきた。昨晩、大広間から突然抜け出して消えてしまった朱音を必死で追いかけ探したにも関わらず、結局ルイは見つけ出すことができなかった。
その上、アザエルによって部屋へと運ばれてきた朱音の首には、明らかに何者かによって締め付けられたような痣がくっきりと残っていたのだ。
「わたしは何があってもこの方から目を離すなと言っておいた筈だが」
冷ややかな氷のような目がルイを見据え、ルイは霞んだ灰の瞳を見開いた。
そのときに自らが仕える主に何が起こったのかを、そして自分が犯した失態を瞬時に悟ったのだ。
そんなことがあった為、ルイはひどく心配性になっていて、ほんの少しの朱音の言動にも敏感だった。
「ルイ・・・。心配かけてごめんね。わたしが昨日勝手に飛び出してったせいで、きっとあいつに怒られたんでしょ?」
ルイは目を見張って扉を後ろ手に閉めた。
「いえ、違うんです・・・。全てはクロウ陛下から離れた僕の責任なんです」
すっかり意気消沈してしまっているルイに朱音は同情した。
見た目はクロウだか魔王の息子だか、何だか知らないが、中身は平凡な中学生“朱音”だというのに、そんな自分の為に尽くそうとするルイに申し訳ない思いを抱かずにはいられない。
「えっと、そんなことより、大変なんです! 元老院が、アザエル閣下の地位を剥奪し、サンタシにその身柄を引き渡すことを今朝決めたそうです!」
ルイはひどく興奮して、朱音に縋るような目を向けてきた。
「ふうん・・・、あいつ、何したの?」
朱音はさして興味も無さそうに、クイックルにクッキーをやる手を止めないまま言った。