AKANE
ビクリと身体を震わせる朱音の姿を見て、青年はすまない、と声を落とした。
「ここはレイシアという君のいた世界“アース”とはまた別の世界だ。つまり、君はあの男の手によって、異界の地に連れて来られたということになる」
フェルデンの言葉の意味を理解できずに、朱音は呆然とフェルデンの顔を見つめる。
「レイシアには二つの大国と島国を主とする小国が存在する。そしてこの緑豊かな国サンタシは二つの大国のうちのひとつだ」
フェルデンはすっと立ち上がると、塗りの素晴らしい棚の中から、使い古した本を一冊取り出した。
「これはこのレイシアの世界地図だ。ここがサンタシ。そして向かいの大陸に広がる大国が我らの宿敵であり魔族の住まう国、ゴーディアだ」
本の見開きのページに描かれている見たこともない不思議な地図をフェルデンは朱音に見せた。
呆然としながら朱音はフェルデンからひったくるようにその本を手元に引き寄せる。
少し日に焼けて黄ばんだ地図は、確かに朱音が普段目にしていた日本やアメリカなどの国がかかれているものとは似ても似つかない。
巨大な大陸が二つ、海を隔てて、羽を広げたような形をしている。右側に位置する大陸にはゴーディアと、左側に位置する大陸にはサンタシと記されている。左側の大陸は右側の大陸と比べると少し大きく、北の辺りは雪が積もっている様子が描かれている。おそらく、南の方は南国のような気候となっているのだろう。大陸から千切れたような小さな島の絵が無数にある。対してサンタシは大陸の半分以上を占め、その下にいくつもの小国が連なっていた。
「う・・・そ」
信じられないことを聞かされた朱音は、愕然としてその地図をポサリとベッドの上に落とした。
「気持ちはわかる。おれ達の予想だが、おそらくは君は、ゴーディアの王の命(めい)でアースの地から贄(にえ)として連れて来られたのだろう」
「に、贄・・・?」
フェルデンの口から出たおぞましい言葉は、朱音を震え上がらせるには十分であった。
「ここはレイシアという君のいた世界“アース”とはまた別の世界だ。つまり、君はあの男の手によって、異界の地に連れて来られたということになる」
フェルデンの言葉の意味を理解できずに、朱音は呆然とフェルデンの顔を見つめる。
「レイシアには二つの大国と島国を主とする小国が存在する。そしてこの緑豊かな国サンタシは二つの大国のうちのひとつだ」
フェルデンはすっと立ち上がると、塗りの素晴らしい棚の中から、使い古した本を一冊取り出した。
「これはこのレイシアの世界地図だ。ここがサンタシ。そして向かいの大陸に広がる大国が我らの宿敵であり魔族の住まう国、ゴーディアだ」
本の見開きのページに描かれている見たこともない不思議な地図をフェルデンは朱音に見せた。
呆然としながら朱音はフェルデンからひったくるようにその本を手元に引き寄せる。
少し日に焼けて黄ばんだ地図は、確かに朱音が普段目にしていた日本やアメリカなどの国がかかれているものとは似ても似つかない。
巨大な大陸が二つ、海を隔てて、羽を広げたような形をしている。右側に位置する大陸にはゴーディアと、左側に位置する大陸にはサンタシと記されている。左側の大陸は右側の大陸と比べると少し大きく、北の辺りは雪が積もっている様子が描かれている。おそらく、南の方は南国のような気候となっているのだろう。大陸から千切れたような小さな島の絵が無数にある。対してサンタシは大陸の半分以上を占め、その下にいくつもの小国が連なっていた。
「う・・・そ」
信じられないことを聞かされた朱音は、愕然としてその地図をポサリとベッドの上に落とした。
「気持ちはわかる。おれ達の予想だが、おそらくは君は、ゴーディアの王の命(めい)でアースの地から贄(にえ)として連れて来られたのだろう」
「に、贄・・・?」
フェルデンの口から出たおぞましい言葉は、朱音を震え上がらせるには十分であった。