AKANE
細長く丸い形をした小麦色のナッツを、クイックルは器用に小さな嘴を使って啄ばんでいる。
「まさか、この世界でリガルトナッツを知らない人がいるとは知りませんでした。魔城ではこのような俗世の食べ物が出されないのですか?」
ぎくりとしてルイが慌ててフォローを挟む。
「陛下はほんの少し以前にこのゴーディアの地に降臨されたばかりです。知らない食べ物があったってそう不思議はありません」
うまく逃げ切ったつもりでいルイだったが、次の瞬間思わず言葉を噤んでしまった。
「そのことなんですが、以前から少し気になっていたんです。クロウ陛下が降臨されたということはこの世界の誰もが既に知っています。けれど、一体どこから降臨されたんです?」
硬直して顔を引きつらせるルイに気付いてか気付かないでか、クリストフは手の平のナッツを全て食べ終えてしまったクイックルを静かにテーブルの上に降ろすと、言葉を続けた。
「それに、わたしにはどうしてか貴方がただの少女に見えてしまう」
朱音に向き直ったクリストフから、朱音はぱっと顔を背けた。
「確かに亡きルシファー王の血を色濃く受け継ぐ美しい容貌・・・、ですが貴方を見ていると、わたしにはただの可憐な少女としか思えないのですよ。貴方こそ一体・・・」
トクトクと早鳴る鼓動に、朱音はぎゅっと拳を握って平静を装う。
まだここでクリストフに全てを話してしまう訳にはいかない、なぜかそう思った。
「・・・というのが実際のところわたしの疑問です。ですが、以前話したようにわたしは決してその答えを無理には聞き出そうとは思いません。貴方が自分探しの旅を続けて答えを見つけるというのならば、わたしは決して貴方を裏切ることをしないと約束しましょう」
朱音は驚きに満ちた顔でクリストフの彫りの深い目を見つめた。
「まさか、この世界でリガルトナッツを知らない人がいるとは知りませんでした。魔城ではこのような俗世の食べ物が出されないのですか?」
ぎくりとしてルイが慌ててフォローを挟む。
「陛下はほんの少し以前にこのゴーディアの地に降臨されたばかりです。知らない食べ物があったってそう不思議はありません」
うまく逃げ切ったつもりでいルイだったが、次の瞬間思わず言葉を噤んでしまった。
「そのことなんですが、以前から少し気になっていたんです。クロウ陛下が降臨されたということはこの世界の誰もが既に知っています。けれど、一体どこから降臨されたんです?」
硬直して顔を引きつらせるルイに気付いてか気付かないでか、クリストフは手の平のナッツを全て食べ終えてしまったクイックルを静かにテーブルの上に降ろすと、言葉を続けた。
「それに、わたしにはどうしてか貴方がただの少女に見えてしまう」
朱音に向き直ったクリストフから、朱音はぱっと顔を背けた。
「確かに亡きルシファー王の血を色濃く受け継ぐ美しい容貌・・・、ですが貴方を見ていると、わたしにはただの可憐な少女としか思えないのですよ。貴方こそ一体・・・」
トクトクと早鳴る鼓動に、朱音はぎゅっと拳を握って平静を装う。
まだここでクリストフに全てを話してしまう訳にはいかない、なぜかそう思った。
「・・・というのが実際のところわたしの疑問です。ですが、以前話したようにわたしは決してその答えを無理には聞き出そうとは思いません。貴方が自分探しの旅を続けて答えを見つけるというのならば、わたしは決して貴方を裏切ることをしないと約束しましょう」
朱音は驚きに満ちた顔でクリストフの彫りの深い目を見つめた。