AKANE
一体何をしたのかと目を丸くしていると、傷口をアルコールで洗い流したようであった。
「悪かったな」
慣れた手つきで、男は布袋の中から白っぽい粉を摘みか取り出し、傷口にふりかけ始めた。
「な、何をふりかけているんです・・・?」
不安な声でフィルマンが訊ねると、男は一種の痺れ薬のようなものだと返事をした。
その後は急に痛みが引いたのか、怪我の男は静かに謎の男の治療を受け始める。この最悪な状況の中でさえ、目の前の謎の男は神業とも言える手つきで見事に縫合していく。
息を飲んで、フィルマンはじっと様子を見守っていた。
「おし、なんとか縫合が終わった。だが、出血量が多すぎる・・・、あまり状態は良くないな・・・。すこし体力を回復しておいてやろう」
そう言うと、手を翳し、何かをし始めた。途端、淡い光が手の平から放出され、怪我の男に吸収されていく。
「あ、あなた、魔族!?」
ふっと苦笑を漏らすと、男は言った。
「ああ・・・。悪いが、魔力と言っても怪我自体を治すことのできる力は無いに等しい。わしにできることは、こうして患者の体力を回復することぐらいだ」
この目の前の男が、どうして敵側の者の傷を治し、命を救ったのかフィルマンには理解できなかった。
「どうして・・・、敵の兵を助けたんです・・・?」
愚問だとでも言うように、男はフィルマンを呆れたように見た。
「医者が患者を助けて何が悪い。患者に敵も味方も無かろう?」
フィルマンは雷に打たれたような衝撃を受けた。
自分もいつか、この男のような医者になりたいと、強く思ったのだ。
「あなたの名前は・・・?」
「フレゴリーだ、坊や」
「悪かったな」
慣れた手つきで、男は布袋の中から白っぽい粉を摘みか取り出し、傷口にふりかけ始めた。
「な、何をふりかけているんです・・・?」
不安な声でフィルマンが訊ねると、男は一種の痺れ薬のようなものだと返事をした。
その後は急に痛みが引いたのか、怪我の男は静かに謎の男の治療を受け始める。この最悪な状況の中でさえ、目の前の謎の男は神業とも言える手つきで見事に縫合していく。
息を飲んで、フィルマンはじっと様子を見守っていた。
「おし、なんとか縫合が終わった。だが、出血量が多すぎる・・・、あまり状態は良くないな・・・。すこし体力を回復しておいてやろう」
そう言うと、手を翳し、何かをし始めた。途端、淡い光が手の平から放出され、怪我の男に吸収されていく。
「あ、あなた、魔族!?」
ふっと苦笑を漏らすと、男は言った。
「ああ・・・。悪いが、魔力と言っても怪我自体を治すことのできる力は無いに等しい。わしにできることは、こうして患者の体力を回復することぐらいだ」
この目の前の男が、どうして敵側の者の傷を治し、命を救ったのかフィルマンには理解できなかった。
「どうして・・・、敵の兵を助けたんです・・・?」
愚問だとでも言うように、男はフィルマンを呆れたように見た。
「医者が患者を助けて何が悪い。患者に敵も味方も無かろう?」
フィルマンは雷に打たれたような衝撃を受けた。
自分もいつか、この男のような医者になりたいと、強く思ったのだ。
「あなたの名前は・・・?」
「フレゴリーだ、坊や」