AKANE
「汚らわしい・・・! ならばここで大人しく首を刎ねられるがよい! さすれば、この長きに渡る戦争も終結し、我国は魔族の脅威に怯えることなく、平和に安穏に暮らしていける!」
ヴィクトル王は、持っていた短剣をかなぐり捨てると、傍にいた近衛兵の剣を奪い取ってクロウの前に振り上げた。
「レイシアの為に死ね!!!」
ヴィクトル王の振り上げられた剣が振り下ろされる瞬間、『パシリ』と剣の刃が何者かの手によって遮られた。
「・・・ふっ、そういうことか・・・」
憎々しげにヴィクトル王は突如入った邪魔を睨み見た。
「敵国の城に単身で乗り込む程馬鹿ではなかったのだな・・・。しかし、そなたが生きていたとは・・・」
朱音がの前に立ち塞がるようにして現れたすらりとした身躯は、その手に構えた剣の刀身でヴィクトル王の剣を難なく受け止めていた。
一つに束ねられた美しい碧い髪は、さらりと僅かに揺れた。
「アザエル・・・!」
死んだかもしれないと思っていた彼が、今こうして目の前に現れたことに動揺し、朱音は無意識に名を呼んでいたことに気付いていなかった。
「愚王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユよ。このまま貴様の息の根を止めてやろうか」
冷ややかなアザエルの言葉に、ヴィクトル王はぐっと剣の刃に力を込めた。
「殺ってみるがよい。但し、わたしが死んだところで我国は滅びはせぬ。寧ろ、サンタシの新たな始まりだ。わたしの後は最高の王が引き継ぎ、そなたの主の息の根を必ずや止めに行くであろう」
ヴィクトル王の言う最高の王とは、弟であるフェルデン・フォン・ヴォルティーユを指していた。
ヴィクトル王は、自らがとる国政よりも、いつの日か弟のフェルデンがずっと素晴らしい国づくりをしてくれると、密かに夢に描き続けてきた。彼が一人前になるまでと、先王からのほんの僅かの期間のみ引き受けたつもりの王の地位。この場所が自分に相応しくないことなど初めっから承知のことであった。
ヴィクトル王は、持っていた短剣をかなぐり捨てると、傍にいた近衛兵の剣を奪い取ってクロウの前に振り上げた。
「レイシアの為に死ね!!!」
ヴィクトル王の振り上げられた剣が振り下ろされる瞬間、『パシリ』と剣の刃が何者かの手によって遮られた。
「・・・ふっ、そういうことか・・・」
憎々しげにヴィクトル王は突如入った邪魔を睨み見た。
「敵国の城に単身で乗り込む程馬鹿ではなかったのだな・・・。しかし、そなたが生きていたとは・・・」
朱音がの前に立ち塞がるようにして現れたすらりとした身躯は、その手に構えた剣の刀身でヴィクトル王の剣を難なく受け止めていた。
一つに束ねられた美しい碧い髪は、さらりと僅かに揺れた。
「アザエル・・・!」
死んだかもしれないと思っていた彼が、今こうして目の前に現れたことに動揺し、朱音は無意識に名を呼んでいたことに気付いていなかった。
「愚王、ヴィクトル・フォン・ヴォルティーユよ。このまま貴様の息の根を止めてやろうか」
冷ややかなアザエルの言葉に、ヴィクトル王はぐっと剣の刃に力を込めた。
「殺ってみるがよい。但し、わたしが死んだところで我国は滅びはせぬ。寧ろ、サンタシの新たな始まりだ。わたしの後は最高の王が引き継ぎ、そなたの主の息の根を必ずや止めに行くであろう」
ヴィクトル王の言う最高の王とは、弟であるフェルデン・フォン・ヴォルティーユを指していた。
ヴィクトル王は、自らがとる国政よりも、いつの日か弟のフェルデンがずっと素晴らしい国づくりをしてくれると、密かに夢に描き続けてきた。彼が一人前になるまでと、先王からのほんの僅かの期間のみ引き受けたつもりの王の地位。この場所が自分に相応しくないことなど初めっから承知のことであった。