AKANE
しかし今、フェルデンは騎士団を率いる程までに成長し、その器は十分に出来上がりつつある。そう、ヴィクトル王の役目は終息に近付いていたのだ。
「そうはさせん!!」
一瞬の隙をついて二人の間に割って入ってきた凄まじい剣気。
びりびりと空気を伝い、肌を刺すような気迫に朱音は息をすることさえ忘れていた。
ヴィクトル王を庇うように大剣を構える大男は、歳を重ねてはいるものの、屈強な身体と恐ろしい程の剣の腕を持ち合わせ、その雰囲気だけで素人の朱音の目にも彼が相当の人物だということを知らしめるには十分な空気を身に纏っている。
「ヴィクトル陛下、お下がりください。ここはわたしが・・・」
ディートハルトには今のヴィクトル王の気持ちは手に取るようにわかった。
とっくに役目を果たしたと思っているヴィクトル王であるが、フェルデンの師でありヴィクトル王の傍に仕えてきた彼はそうは思わなかった。
フェルデンにはヴィクトル王の存在が必要で、そしてこのサンタシ国にも賢王ヴィクトルの存在が必要不可欠だと信じて疑わない。何がなんでもディートハルトは国の為にヴィクトル王の身を守り抜かねばなるまい。
「その大剣・・・。貴様、レイシアの三剣士の一人、ディートハルト・アルデンホフか」
「いかにも」
冷ややかなな笑みを浮かべ、アザエルは剣の構えを変えた。
「魔王の側近と謳われたおぬしの腕、この老いぼれの目に叩きつけてみよ」
朱音は直感で感じた。この戦いはどちらにとってもただでは済まないということを・・・。
(アザエル、だめ!)
『ビュンッ』
『ガキィィィ』
凄まじい剣気と張り詰めた空気の中で、どちらも引けぬ剣が激しくぶつかり合う。
「アザエル! やめてっ」
朱音が叫ぶが、このときばかりはアザエルも手を止めることなどできなかった。
「ほぉ、噂通りなかなかの腕だ。しかし・・・、その鈍らでわたしの剣の刃を受け止め続けることなどできるかな」
「そうはさせん!!」
一瞬の隙をついて二人の間に割って入ってきた凄まじい剣気。
びりびりと空気を伝い、肌を刺すような気迫に朱音は息をすることさえ忘れていた。
ヴィクトル王を庇うように大剣を構える大男は、歳を重ねてはいるものの、屈強な身体と恐ろしい程の剣の腕を持ち合わせ、その雰囲気だけで素人の朱音の目にも彼が相当の人物だということを知らしめるには十分な空気を身に纏っている。
「ヴィクトル陛下、お下がりください。ここはわたしが・・・」
ディートハルトには今のヴィクトル王の気持ちは手に取るようにわかった。
とっくに役目を果たしたと思っているヴィクトル王であるが、フェルデンの師でありヴィクトル王の傍に仕えてきた彼はそうは思わなかった。
フェルデンにはヴィクトル王の存在が必要で、そしてこのサンタシ国にも賢王ヴィクトルの存在が必要不可欠だと信じて疑わない。何がなんでもディートハルトは国の為にヴィクトル王の身を守り抜かねばなるまい。
「その大剣・・・。貴様、レイシアの三剣士の一人、ディートハルト・アルデンホフか」
「いかにも」
冷ややかなな笑みを浮かべ、アザエルは剣の構えを変えた。
「魔王の側近と謳われたおぬしの腕、この老いぼれの目に叩きつけてみよ」
朱音は直感で感じた。この戦いはどちらにとってもただでは済まないということを・・・。
(アザエル、だめ!)
『ビュンッ』
『ガキィィィ』
凄まじい剣気と張り詰めた空気の中で、どちらも引けぬ剣が激しくぶつかり合う。
「アザエル! やめてっ」
朱音が叫ぶが、このときばかりはアザエルも手を止めることなどできなかった。
「ほぉ、噂通りなかなかの腕だ。しかし・・・、その鈍らでわたしの剣の刃を受け止め続けることなどできるかな」