AKANE
みるみるいちに床に広がっていく紅い血だまり。生暖かい血は倒れた近衛兵の首の動脈から今もどくどくと脈打つ度に流れ出ている。
朱音はあまりの光景に呆然とした。
近衛兵の中には、一体何が起こったのか理解できていない者もいたようだ。
アザエルは使い物にならなくなった剣を投げ捨てると、両の手をディートハルトに向けて翳し始めた。
「!!!」
絶命した近衛兵の今なお流れ出す血液がアザエルの手に吸い込まれるようにして、その掌にはみるみる紅黒い剣のようなものが形作られていく。
「血の剣だと・・・」
ディートハルトは目を見張り、大剣を構え直した。
「ちっ、強度がまだ足りぬか・・・」
そうアザエルが呟くと同時、今度は朱音の隣に立っていた近衛兵がどさりと鈍い音を立てて倒れ込んだ。
『ゴロゴロゴロ・・・』
光沢のある石の床面に転がったものは、置物などではなく、兵士の頭である。
「ひっ」
悲鳴を上げ、朱音を取り囲んでいた近衛兵達が向けていた剣のこともすっかり忘れ、恐怖で真っ青になりながら後退していく。
その間にも、切断された首からは鮮血が噴出し、朱音の衣服をも真っ赤に染め上げていった。
アザエルは冷笑を浮かべ、その血さえも掌の武器へと吸収し続けていく。
「その減らず口を永久に閉じてやる」
室内に篭る生臭い鉄の臭い。惨劇に朱音は吐きそうになるのをじっと堪えた。
「もう止めて・・・。これ以上誰が死ぬのも見たくない・・・」
強硬な武器を手に入れたアザエルが今まさにディートハルトに切り掛かろうとしている。
「お願いです、あの二人を止めて・・・!」
朱音は真っ赤に染まった手でヴィクトル王の腕を掴んだ。
朱音はあまりの光景に呆然とした。
近衛兵の中には、一体何が起こったのか理解できていない者もいたようだ。
アザエルは使い物にならなくなった剣を投げ捨てると、両の手をディートハルトに向けて翳し始めた。
「!!!」
絶命した近衛兵の今なお流れ出す血液がアザエルの手に吸い込まれるようにして、その掌にはみるみる紅黒い剣のようなものが形作られていく。
「血の剣だと・・・」
ディートハルトは目を見張り、大剣を構え直した。
「ちっ、強度がまだ足りぬか・・・」
そうアザエルが呟くと同時、今度は朱音の隣に立っていた近衛兵がどさりと鈍い音を立てて倒れ込んだ。
『ゴロゴロゴロ・・・』
光沢のある石の床面に転がったものは、置物などではなく、兵士の頭である。
「ひっ」
悲鳴を上げ、朱音を取り囲んでいた近衛兵達が向けていた剣のこともすっかり忘れ、恐怖で真っ青になりながら後退していく。
その間にも、切断された首からは鮮血が噴出し、朱音の衣服をも真っ赤に染め上げていった。
アザエルは冷笑を浮かべ、その血さえも掌の武器へと吸収し続けていく。
「その減らず口を永久に閉じてやる」
室内に篭る生臭い鉄の臭い。惨劇に朱音は吐きそうになるのをじっと堪えた。
「もう止めて・・・。これ以上誰が死ぬのも見たくない・・・」
強硬な武器を手に入れたアザエルが今まさにディートハルトに切り掛かろうとしている。
「お願いです、あの二人を止めて・・・!」
朱音は真っ赤に染まった手でヴィクトル王の腕を掴んだ。