AKANE
もともと細身だった彼だったが、碌な食事も与えて貰っていないせいか、より一層痩せ細ったようである。細くなった手足にはずっしりと重そうな硬い鉄の錠前がかけられ、石壁にがしりと繋がれていた。
リストアーニャで別れて以来、姿を消してしまったクリストフを探して飛び回った白鳩は、明け方にようやくクリストフの捕らえられている、ゴーディアの牢に辿り着いたのであった。
一切の形跡がなかったクリストフの足取りを追うのは至難の業だったが、白鳩は僅かな風の流れを感じ取り、ここへとやって来たのだ。
今や、魔力を封じられてしまってはいたが、彼女は長い間、彼と共に空を飛んできた。だからよく知っていたのだ。魔力を発動していなくとも、彼の身体を包む優しい風がそこにあるということを。
一向にその場から飛び去ろうとしない白鳩に、クリストフは困り果てた。
「さあ、もうお行き。君は今のわたしとは違って自由だ。もう好きなところへ行っていいんだよ」
この魔城の牢に不似合いな程純白で美しい彼女に向けて、クリストフは優しく言った。
『クルック・・・』
小さく喉を鳴らすと、白鳩はちょこん窓の外に飛び降り、パサパサと音を立てて飛び立っていった。
「そう、君は自由な鳥だ・・・」
クリストフは連日の拷問による疲労でうつらうつらし始めた。
眠ると次は目が覚めないかもしれない、とふとそんな馬鹿な考えが脳裏を掠めたが、次の瞬間、またしっかりと覚醒した。
『クルック』
リストアーニャで別れて以来、姿を消してしまったクリストフを探して飛び回った白鳩は、明け方にようやくクリストフの捕らえられている、ゴーディアの牢に辿り着いたのであった。
一切の形跡がなかったクリストフの足取りを追うのは至難の業だったが、白鳩は僅かな風の流れを感じ取り、ここへとやって来たのだ。
今や、魔力を封じられてしまってはいたが、彼女は長い間、彼と共に空を飛んできた。だからよく知っていたのだ。魔力を発動していなくとも、彼の身体を包む優しい風がそこにあるということを。
一向にその場から飛び去ろうとしない白鳩に、クリストフは困り果てた。
「さあ、もうお行き。君は今のわたしとは違って自由だ。もう好きなところへ行っていいんだよ」
この魔城の牢に不似合いな程純白で美しい彼女に向けて、クリストフは優しく言った。
『クルック・・・』
小さく喉を鳴らすと、白鳩はちょこん窓の外に飛び降り、パサパサと音を立てて飛び立っていった。
「そう、君は自由な鳥だ・・・」
クリストフは連日の拷問による疲労でうつらうつらし始めた。
眠ると次は目が覚めないかもしれない、とふとそんな馬鹿な考えが脳裏を掠めたが、次の瞬間、またしっかりと覚醒した。
『クルック』