AKANE
リガルトナッツはもともと彼の好物の一つであったが、これ程このナッツが美味いと感じたことは嘗て無かっただろう。
夢中で白鳩が運んできてくれたナッツを口へ放り込んでいくと、満足そうに白鳩はホロホロと喉を鳴らした。
「君には助けられてばかりですね・・・。わたしは君に何もしてやれていないというのに。君はただ自由な美しい空の旅人だった。それを、わたしの我儘でこんな道へと引き込む結果になってしまったんですね・・・」
ナッツは、十分とはいかないまでも、少しばかりクリストフの空き切った胃袋を満たしてくれた。
「君は、もう本来のあるべき姿に戻らなければならない時期にきているのかもしれません・・・」
クリストフはほんの少し淋しさを落とした赤く腫れ上がった目で白鳩のつぶらな瞳を見つめた。
「ルシフェルの血を飲んだとき、わたしは風の力を得ると同時に、不老の肉体を得ました。けれど、それからを一人きりで生きるにはあまりにも長い時間で・・・。自由を得る為に選んだ道とは言え、わたしは淋しさに堪えられそうもなかった」
クリストフはそっと目を閉じて、昔、ずっと遠い昔を回想していた。
「お前さん、またこんなとこに隠れてるのかい?」
彼はこの頃の“ぼく”を気にかけてくれる、唯一の人間だった。
「ああ、おじさん・・・。違うんです・・・。えっと・・・、その・・・」
ふっと口元を緩め、彼は笑った。
夢中で白鳩が運んできてくれたナッツを口へ放り込んでいくと、満足そうに白鳩はホロホロと喉を鳴らした。
「君には助けられてばかりですね・・・。わたしは君に何もしてやれていないというのに。君はただ自由な美しい空の旅人だった。それを、わたしの我儘でこんな道へと引き込む結果になってしまったんですね・・・」
ナッツは、十分とはいかないまでも、少しばかりクリストフの空き切った胃袋を満たしてくれた。
「君は、もう本来のあるべき姿に戻らなければならない時期にきているのかもしれません・・・」
クリストフはほんの少し淋しさを落とした赤く腫れ上がった目で白鳩のつぶらな瞳を見つめた。
「ルシフェルの血を飲んだとき、わたしは風の力を得ると同時に、不老の肉体を得ました。けれど、それからを一人きりで生きるにはあまりにも長い時間で・・・。自由を得る為に選んだ道とは言え、わたしは淋しさに堪えられそうもなかった」
クリストフはそっと目を閉じて、昔、ずっと遠い昔を回想していた。
「お前さん、またこんなとこに隠れてるのかい?」
彼はこの頃の“ぼく”を気にかけてくれる、唯一の人間だった。
「ああ、おじさん・・・。違うんです・・・。えっと・・・、その・・・」
ふっと口元を緩め、彼は笑った。