AKANE
ボコリと盛り上がった地面の中から飛び出した蔦は、うねりながら鋭い爪のようにユリウスに襲い掛かってきた。
ヒヒンと驚いき後退する馬の手綱を取り、ユリウスは持っていた剣でその蔦に切りつける。
しかし、表面の硬い蔦をなんとかその剣で受け止めはしたものの、蔦自体はなかなか切断するまでに至らない。うねうねと蛇のように迫りくるそれは、怯むことを知らない。
「知っているかな。人間の血は植物にとって最高の栄養になるって話」
他人事のように話すメフィスに、ユリウスはどうやってこの場を切り抜けようか懸命に頭を働かせていた。
「そういえば、そっちの指令官、アザエルの後に誰が後釜に納まった?」
本当ならばこうして話している余裕すらないにも関わらず、ユリウスは一か八かの賭けに出た。
「あの氷のような男、サンタシの船で護送中に行方不明なんだが、あんた、奴の行方を知らないか? まさか海で死んだ・・・なんてことは無いだろうがな」
メフィスが僅かに苛立ったのがユリウスには感じ取れた。これはひょっとすると当たりかもしれない。
「しかし、アザエルもああ見えてあんまり大したことないのかもな」
そう言った瞬間、メフィスがすっと刀剣を鞘から抜き出していた。
「君、ぼくを怒らせたいの?」
急に露になった殺気に怯むことなく、ユリウスは言葉を続けてた。
「新しい司令官はアザエルよりも利口なんだろうか」
「アザエル閣下をあんな下品な男と比べるな・・・! ぼくはあんな下衆な男の部下になるつもりはない! ぼくが部下として働くのは、アザエル閣下の下だけだ!」
刀身を構え、今尚襲い掛かる植物の蔦の攻撃を避け続けるユリウスに言い放った。
「ぼくはあの下品な男の命に従っている訳じゃない。閣下が、“クロウ国王陛下の命(めい)に決して背くな”とぼくに仰ったからだ! 閣下が信じ愛した国王に、ぼくも全面的に従うのみ」
すっかり平静さを失ったメフィスの攻撃には、僅かに隙が生まれていた。
ヒヒンと驚いき後退する馬の手綱を取り、ユリウスは持っていた剣でその蔦に切りつける。
しかし、表面の硬い蔦をなんとかその剣で受け止めはしたものの、蔦自体はなかなか切断するまでに至らない。うねうねと蛇のように迫りくるそれは、怯むことを知らない。
「知っているかな。人間の血は植物にとって最高の栄養になるって話」
他人事のように話すメフィスに、ユリウスはどうやってこの場を切り抜けようか懸命に頭を働かせていた。
「そういえば、そっちの指令官、アザエルの後に誰が後釜に納まった?」
本当ならばこうして話している余裕すらないにも関わらず、ユリウスは一か八かの賭けに出た。
「あの氷のような男、サンタシの船で護送中に行方不明なんだが、あんた、奴の行方を知らないか? まさか海で死んだ・・・なんてことは無いだろうがな」
メフィスが僅かに苛立ったのがユリウスには感じ取れた。これはひょっとすると当たりかもしれない。
「しかし、アザエルもああ見えてあんまり大したことないのかもな」
そう言った瞬間、メフィスがすっと刀剣を鞘から抜き出していた。
「君、ぼくを怒らせたいの?」
急に露になった殺気に怯むことなく、ユリウスは言葉を続けてた。
「新しい司令官はアザエルよりも利口なんだろうか」
「アザエル閣下をあんな下品な男と比べるな・・・! ぼくはあんな下衆な男の部下になるつもりはない! ぼくが部下として働くのは、アザエル閣下の下だけだ!」
刀身を構え、今尚襲い掛かる植物の蔦の攻撃を避け続けるユリウスに言い放った。
「ぼくはあの下品な男の命に従っている訳じゃない。閣下が、“クロウ国王陛下の命(めい)に決して背くな”とぼくに仰ったからだ! 閣下が信じ愛した国王に、ぼくも全面的に従うのみ」
すっかり平静さを失ったメフィスの攻撃には、僅かに隙が生まれていた。