AKANE
「つまり、魔力を使わず、騎士らしく正々堂々と一騎打ちか」
すっかり朝が明け、いつの間にか日はもう高く昇りかかっている。
未だ周囲の喧騒は止まず、剣が交じり合う音や炎の上がる音、傷を負った兵の呻き声がそこら中で鳴り響いている。
メフィスによって半分は破壊されてしまった石壁の隙間から、攻撃を免れたゴーディア兵が掻い潜っている。これ以上の足止めをするには、大将の首をとることの他に道は残されていない。
「まあね。君も噂通り、なかなか剣の筋は良さそうだし? その若さでサンタシ騎士団の二番手だって?」
メフィスは馬の手綱を引き寄せると、剣をかちゃりと構えた。それはいつでもかかってこいという合図であった。
(こいつを倒せば、あとはフェルデン殿下が大将の首をとってくれる筈・・・! ここは絶対に負けられない・・・!)
ユリウスは小さく息を吸い込むと、ぴしりと馬の手綱を打った。
勢いをつけて滑走を始める愛馬に、小柄な身体をぐっと前方に倒し、ぐっと剣を突き出すような形で構えた。もっともユリウスが得意とする“オクス(突き)”を応用した剣技である。この技は、高速で駆ける馬を片手で操り、そしてそのスピードと勢いを力に変換する、高い技術を要するものだった。
メフィスはユリウスの攻撃を避けようとはせず、真っ向からその勝負を受けて立った。
二頭の馬が擦れ違う瞬間、凄まじい剣音が木霊し、一瞬の静寂が訪れた。
周囲の全ての音が消え去った。
すっかり朝が明け、いつの間にか日はもう高く昇りかかっている。
未だ周囲の喧騒は止まず、剣が交じり合う音や炎の上がる音、傷を負った兵の呻き声がそこら中で鳴り響いている。
メフィスによって半分は破壊されてしまった石壁の隙間から、攻撃を免れたゴーディア兵が掻い潜っている。これ以上の足止めをするには、大将の首をとることの他に道は残されていない。
「まあね。君も噂通り、なかなか剣の筋は良さそうだし? その若さでサンタシ騎士団の二番手だって?」
メフィスは馬の手綱を引き寄せると、剣をかちゃりと構えた。それはいつでもかかってこいという合図であった。
(こいつを倒せば、あとはフェルデン殿下が大将の首をとってくれる筈・・・! ここは絶対に負けられない・・・!)
ユリウスは小さく息を吸い込むと、ぴしりと馬の手綱を打った。
勢いをつけて滑走を始める愛馬に、小柄な身体をぐっと前方に倒し、ぐっと剣を突き出すような形で構えた。もっともユリウスが得意とする“オクス(突き)”を応用した剣技である。この技は、高速で駆ける馬を片手で操り、そしてそのスピードと勢いを力に変換する、高い技術を要するものだった。
メフィスはユリウスの攻撃を避けようとはせず、真っ向からその勝負を受けて立った。
二頭の馬が擦れ違う瞬間、凄まじい剣音が木霊し、一瞬の静寂が訪れた。
周囲の全ての音が消え去った。