AKANE
男の手に握られた剣は根元から砕け折れ、今やもとの剣の姿など見る影もない。おそらくは、あの一瞬の間に、この剣で堪えうる最大限の攻撃を受け、更にユリウスに反撃を食らわしたのだろう。
フェルデンは、馬から飛び降り、ぐったりと動かない小柄の騎士の身体を自らの馬の背に移した。ぐっしょりと血にぬれた腕は、ユリウス自身もかなりの重症であるということを物語っていた。
相打ちだった。二人の力はほぼ互角、この地に寝そべっている青年は、フェルデンが聞き及んでいた限りでは、黒の騎士団の副司令官では、と予想できた。
とうとうゴーディアの兵が石壁を突破し、前進し始めたらしい。
「フェルデン殿下・・・! もう、持ちません・・・!」
血相を変えて、第三隊隊長であるアレクシがフェルデンの傍に馬を寄せた。
「殿下、すでに騎士団のうち第五隊と第六隊が全滅、第四隊も半数がやられています。歩兵の被害は半数以上にのぼり、弓兵、投石兵のほとんどが馴れない剣での接近戦での闘いを余儀なくされております」
そして、もっとも有能な騎士集団第一隊の隊長であるユリウスさえも、今や大傷を負ってこの様である。
「落ち着け、まだいける。忘れたか、石壁の向こうには最終手段として我国最高の術師ロランが敵の侵入を阻む結界を張っている。いいか、今ならまだ奴らの兵を押し止めておける。第三隊はお前を含め騎士団の中でももっとも個性的な騎士達ばかりだ。残っている騎士を全て集め、全力で敵国の歩兵、騎士どもを足止めしろ。おれは・・・」
馬上から地面に転がる黒騎士の副司令官を見下ろした。
「おれは、敵軍の大将を見つけ出し倒す・・・!」
息も切れ切れにメフィスが嘲った。
「忠告しておくけれど・・・、彼は・・・ぼくのように武器は不得手ではないよ・・・。彼・・・は、槍の名手だからね・・・。きっと・・・、魔・・・光石・・・を使わないと、彼には勝てないよ・・・。」
「こいつ・・・! 殿下の剣の腕を知りもしない癖に!」
アレクシが止めを刺そうと、自らの剣を彼の喉元に突き刺そうとする。
フェルデンは、馬から飛び降り、ぐったりと動かない小柄の騎士の身体を自らの馬の背に移した。ぐっしょりと血にぬれた腕は、ユリウス自身もかなりの重症であるということを物語っていた。
相打ちだった。二人の力はほぼ互角、この地に寝そべっている青年は、フェルデンが聞き及んでいた限りでは、黒の騎士団の副司令官では、と予想できた。
とうとうゴーディアの兵が石壁を突破し、前進し始めたらしい。
「フェルデン殿下・・・! もう、持ちません・・・!」
血相を変えて、第三隊隊長であるアレクシがフェルデンの傍に馬を寄せた。
「殿下、すでに騎士団のうち第五隊と第六隊が全滅、第四隊も半数がやられています。歩兵の被害は半数以上にのぼり、弓兵、投石兵のほとんどが馴れない剣での接近戦での闘いを余儀なくされております」
そして、もっとも有能な騎士集団第一隊の隊長であるユリウスさえも、今や大傷を負ってこの様である。
「落ち着け、まだいける。忘れたか、石壁の向こうには最終手段として我国最高の術師ロランが敵の侵入を阻む結界を張っている。いいか、今ならまだ奴らの兵を押し止めておける。第三隊はお前を含め騎士団の中でももっとも個性的な騎士達ばかりだ。残っている騎士を全て集め、全力で敵国の歩兵、騎士どもを足止めしろ。おれは・・・」
馬上から地面に転がる黒騎士の副司令官を見下ろした。
「おれは、敵軍の大将を見つけ出し倒す・・・!」
息も切れ切れにメフィスが嘲った。
「忠告しておくけれど・・・、彼は・・・ぼくのように武器は不得手ではないよ・・・。彼・・・は、槍の名手だからね・・・。きっと・・・、魔・・・光石・・・を使わないと、彼には勝てないよ・・・。」
「こいつ・・・! 殿下の剣の腕を知りもしない癖に!」
アレクシが止めを刺そうと、自らの剣を彼の喉元に突き刺そうとする。