AKANE
「困りましたね、魔力を持たない筈のあなたが私の術を破ってしまうとは・・・」
アザエルがフェルデンと朱音を見下ろす。
「その男から離れてください。あなたまで傷つけてしまいます」
アザエルは再び手をフェルデンに向けようとしている。
「ダメー! 殺さないでっ」
朱音は地面に肩膝をついて痛みに耐えるフェルデンの長身の身体を必死に庇おうとする。
「アカネ、馬鹿なことをするな・・・! おれのことはいいから、離れろ・・・!」
朱音はかぶりを振ってしてフェルデンから離れようとしない。
「では、わたしの条件を呑んで下さるのならば、その男の命は助けましょう」
アザエルは呆れ返った様子で朱音に言った。
「アカネ、耳を貸すな・・・!」
しかし、深い傷を負ったフェルデンがこの危機を逃れる為には、もうアザエルの出す条件を飲むこと位しか選択の余地は残っていない。
朱音は泣き腫らした目でぎっとアザエルを睨みつけると、こくりと頷いた。
「懸命なご判断。わたしの条件は実に簡単なことです。あなたがわたしに大人しくついてくる、たったそれだけのこと」
そのことが意味するのは、即ち、朱音がサンタシの敵国である魔族の住まう地、ゴーディアに行くということ。
“贄”という言葉が頭を過ぎる。
しかし、目の前の大切な青年の命を思うともう覚悟を決めるしか無かった。
すっくと立ち上がった朱音は、重い足取りでアザエルの元へと近付いていく。
「アカネ! やめろ! 行くな!」
痛みをこらえてフェルデンが朱音に訴えかける。
しかし、朱音は目をぎゅっと閉じてアザエルの言葉に素直に従った。
アザエルがフェルデンと朱音を見下ろす。
「その男から離れてください。あなたまで傷つけてしまいます」
アザエルは再び手をフェルデンに向けようとしている。
「ダメー! 殺さないでっ」
朱音は地面に肩膝をついて痛みに耐えるフェルデンの長身の身体を必死に庇おうとする。
「アカネ、馬鹿なことをするな・・・! おれのことはいいから、離れろ・・・!」
朱音はかぶりを振ってしてフェルデンから離れようとしない。
「では、わたしの条件を呑んで下さるのならば、その男の命は助けましょう」
アザエルは呆れ返った様子で朱音に言った。
「アカネ、耳を貸すな・・・!」
しかし、深い傷を負ったフェルデンがこの危機を逃れる為には、もうアザエルの出す条件を飲むこと位しか選択の余地は残っていない。
朱音は泣き腫らした目でぎっとアザエルを睨みつけると、こくりと頷いた。
「懸命なご判断。わたしの条件は実に簡単なことです。あなたがわたしに大人しくついてくる、たったそれだけのこと」
そのことが意味するのは、即ち、朱音がサンタシの敵国である魔族の住まう地、ゴーディアに行くということ。
“贄”という言葉が頭を過ぎる。
しかし、目の前の大切な青年の命を思うともう覚悟を決めるしか無かった。
すっくと立ち上がった朱音は、重い足取りでアザエルの元へと近付いていく。
「アカネ! やめろ! 行くな!」
痛みをこらえてフェルデンが朱音に訴えかける。
しかし、朱音は目をぎゅっと閉じてアザエルの言葉に素直に従った。