AKANE
「応じてくださって、ありがとうございます。フェルデン殿下・・・。今からお話することは、一刻の猶予を争う内容のものです。先にお願いしておきます。今すぐ結界を解除して、出立の準備を進めて下さい。そして、叶うならば・・・、ディートハルトさんにもこの会合の中身を伝えてください」
嘗て魔城にて謁見の際に見せた、クロウに対する嫌悪の目と同じものが向けられていることに朱音は気付いていた。
それは、身を裂かれるよりも辛いことであったが、朱音は決して彼から目を逸らすことなく話続けた。
「一体何を言っている・・・? そのようなこと承知できる訳がない!」
明らかに怒りを露にしているフェルデンの感情を感じ取り、ライシェルが付け加えた。
「落ち着け、フェルデン・フォン・ヴォルティーユ。陛下が仰りたいことは、一時我らが提携しようという提案だ。何もサンタシを乗っ取ろうという気などない」
フェルデンはじっと何も映してはいないライシェルの目に僅かに視線をやった。
「どういうことだ?」
「フェルデン殿下、この戦争はわたしが指示したものではないからです。今、わたしに成り代わり、国や軍を欺き指示をしている者が別にいるんです。ですから、わたしはこの無意味な戦を止める為にここへ来ました。でも、できなかった・・・」
腕組みをし、フェルデンは伺うように朱音の言葉に耳を傾けた。
「わたしは大きな勘違いをしてしまいました・・・。ここへ来ればきっと、この戦争を止めることができると思っていたのに、実はここでの戦いは囮だったんです。彼は、手薄になった白亜城を背後から一気に攻め落とす気でいます」
「なに・・・!?」
拳をテーブルに強く叩きつけた拍子、上に乗せられていた水の入ったグラスが勢いよく地面に落下し粉々に砕け散った。
「殿下! 何かありましたかっ」
テントのすぐ外で控えていたアレクシが、慌てて中へ飛び込んで来た。
「その話が事実だという証拠はあるのか? お前達ゴーディアの嘘ではないという確証はどこにある?」
嘗て魔城にて謁見の際に見せた、クロウに対する嫌悪の目と同じものが向けられていることに朱音は気付いていた。
それは、身を裂かれるよりも辛いことであったが、朱音は決して彼から目を逸らすことなく話続けた。
「一体何を言っている・・・? そのようなこと承知できる訳がない!」
明らかに怒りを露にしているフェルデンの感情を感じ取り、ライシェルが付け加えた。
「落ち着け、フェルデン・フォン・ヴォルティーユ。陛下が仰りたいことは、一時我らが提携しようという提案だ。何もサンタシを乗っ取ろうという気などない」
フェルデンはじっと何も映してはいないライシェルの目に僅かに視線をやった。
「どういうことだ?」
「フェルデン殿下、この戦争はわたしが指示したものではないからです。今、わたしに成り代わり、国や軍を欺き指示をしている者が別にいるんです。ですから、わたしはこの無意味な戦を止める為にここへ来ました。でも、できなかった・・・」
腕組みをし、フェルデンは伺うように朱音の言葉に耳を傾けた。
「わたしは大きな勘違いをしてしまいました・・・。ここへ来ればきっと、この戦争を止めることができると思っていたのに、実はここでの戦いは囮だったんです。彼は、手薄になった白亜城を背後から一気に攻め落とす気でいます」
「なに・・・!?」
拳をテーブルに強く叩きつけた拍子、上に乗せられていた水の入ったグラスが勢いよく地面に落下し粉々に砕け散った。
「殿下! 何かありましたかっ」
テントのすぐ外で控えていたアレクシが、慌てて中へ飛び込んで来た。
「その話が事実だという証拠はあるのか? お前達ゴーディアの嘘ではないという確証はどこにある?」